アムネスティ日本のチベット・グループ発行の『ちべっとニュースレター』3号に掲載されたものに加筆し、写真を加えたものです。 |
日本人は、やっぱ温泉だよね〜。 というわけで、チベットで温泉に行ってきた。温泉がキモチいいというのは世界共通の感覚(?)。チベットにも温泉でリラックス♪というカルチャーがちゃんとある。 有名なのは地熱発電所のあるヤンパチェン(羊八井)だが、今回行ったのは、ラサから東へ四駆車で5時間ほど走ったところにあるテルドム温泉。 チベットに密教を伝えたグル・リンポチェという行者がいるのだが、テルドムは、将来時が満ちたときに発見されるはずの埋蔵経典(テルマ)を埋めたとされる聖地の一つ。緑豊かな渓谷に尼寺があり、山麓に温泉が湧き出ている。 ←テルドム尼僧院と温泉のある渓谷 |
チベットとはいえ、基本的には日本の温泉とたいして変わらない。 こんこんと湧き出ている温泉を、自然の川の流れをうまく引き込んでうすめた、40度ぐらいの露天風呂だ。 あいにく雨期(8月下旬)で曇っていたため外気は少々寒かったが、温泉は快適な暖かさ。しかも、お湯は澄んでいて、きれいだ。深さは、へそ上5センチぐらいだったかな。 浴場は男女に分かれていて、周囲には(いちおう)柵がある。脱衣のためのベンチや洋服掛けなどもある。一部コケが生えていて滑りやすい部分もあるので注意注意。いっしょに行ったチベット人ガイド・ギャルツェンは潜ったり泳いだりしていた。 |
全身で浸かる場所とは別に、脚だけ(膝ぐらいまで)浸かれるスポットもあるので、カゼひきそうという方はそっちをトライ。ただし、チベット人巡礼たちはそこで鍋釜や野菜を洗っている。 ところで、酸素の薄い海抜4500mの地で、心臓に負担をかける長湯は、実はあまりほめられたものではない。 そのとき1ヵ月近くチベットにいた僕も、温泉のまわりの草原をさんざん歩いた末、けっこう長くお湯に入っていたら、夜中に息苦しい思いをした。 息苦しくなって目が覚める恐ろしさ。 ギャルツェンによると「湯に入る前に水をたっぷり飲んで、ちゃんと食事しておくように」――翌朝そう言っていた。先に言えよ。 というわけで、ちゃんと高地適応してから行かないと、せっかく温泉に入っても、辛いことになってしまうから注意が必要だ。 |
温泉周辺には雄大な大自然が広がっていて、これも見もの。ヤクや羊が遊び、高山植物が咲く草原のある丘が広がっている。天気さえよければピクニックまたはハイキングにぴったり。 裏手の丘を30分ほど(歩いて)のぼると遊牧民のテントもある。いきなり近寄って行くと、番犬(でかい!)に追いかけられるので注意。そのさらに上のほうには、尼寺のお堂や尼さんの僧坊などもあるから、余力があったら訪ねてみよう。 |
▲ゲストハウス
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せっかくのテルドム温泉。ぜひともゆっくり1泊以上はしたいものだ。 温泉のすぐ隣りにゲストハウスがある。お世話をしてくれるのは、人なつっこい尼さんたちだ。 部屋にあるのはベッドとシーツ・布団、そして魔法瓶に入ったお湯のみ。お湯は、なくなったら尼さんの僧坊にもらいにいく。浴衣やスリッパなどは置いてない。ベッドやシーツは日本人的基準ではかなり「汚い」部類なので、寝袋が必要かもしれない。 また、電気がないので、懐中電灯は必須。いちおうロウソクはくれるけど。周囲に食堂はないので、食料はすべて持ち込む。 トイレは、いちおうある。が、ゲストハウス周辺は犬だらけなので、夜トイレに行くのはちょっと怖いかもなあ。まあ、だれも見てないから、そのへんでしちゃえばいいんだが。 海抜が高くて、天気によっては非常に冷えるので、防寒の用意は必須。暖かくて天気のいいときなら、テント泊も楽しいかもね。 |
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