総 合 情 報

ここから先を読む前に
すでにチベットに行くことを決めてしまった方はガイドブックを1冊買ったほうがいいと思います。
『地球の歩き方 チベット』(ダイヤモンド社)
『旅行人ノート チベット』第4版(旅行人)
の2冊がありますが、初めて行かれる方は「歩き方」のほうが写真がたくさんあって楽しいかも。情報も新しめです。「闇バス」「ヒッチ」など違法な情報、“いかに安く”といった情報は弱いです。
「旅行人ノート」は、いわゆるバックパッカーの皆さんにお薦め。申し訳ないですが情報が古くなっています。

★2008年のチベット動乱以来、チベット自治区や他のチベットエリアへの外国人の入域は制限されています。時期によってかなり情勢が違いますので「旅行人の掲示板」などで最新情報を収集して下さい。

チベットとは何か?
どこをチベットと呼ぶか。人によって違ったりします。

(1)中華人民共和国のチベット自治区(西蔵自治区)……テレビや新聞で「チベット」と言っていたら、ほぼ間違いなく、「チベット自治区」のことです。なぜかというと、中国政府がそう言っているので、そう言わないと怒られるから。

(2)チベット高原あるいはチベット人が多く済むエリア……チベット自治区+青海省の大部分+四川省の北部・西部+甘粛省甘南州+雲南省北部など、チベット人が多く住む範囲を加えたもの。チベット人の多くは、こちらが本来のチベットだと信じているし、五十年ほど前まで実際この範囲がチベットでした。

このページでは、単に「チベット」と言ったら、主に(2)あたりを漠然と指すことにします。これはひとえに心情的なものです。ただ、あまりに広すぎるため、話を簡単にするために、「チベットへ行く」といったら、まず「ラサに行く」を指すことが多くなるでしょう。

チベット(高原)はどこにある?
だいたいこんな感じ→

大雑把にいうと、
中国の地図を見て、西のほうで濃い茶色で塗ってあるところ(やけに標高の高いところ)は、ほとんどチベットっぽいです。

個人でチベットに行けるのか?
余裕で行けます。
許可証云々というカタチはありますが、要するにお金を払えば行けます。
ただし、ネパールからは形式的にグループ・ツアーに入らないと行ける可能性は低いようです。

安く行けるのか?
行けます。
ただし、安く行くためには少々時間が必要です。
チベットに限った話ではありませんが、短時間で効率的に旅行しようと思ったら、あらかじめ日本で交通機関などの手配していくのがいいに決まっています。そうすると、旅行会社のお世話になることになり、お金がかかります。
逆に、時間があれば、行き当たりばったりでゆっくり移動すればいいので、安くあがるはずです。

大体いくらぐらいかかる?
料金については、成都から飛行機で行く場合はここ、西寧・ゴルムドからバスで行く場合はここを参照ください。
日本〜中国のフライトについては、アクロス・トラベルなど格安航空券を売っている旅行会社のホームページを参考にしてください。値段は時期によって大きく違います。
成田〜成都は直行便(北京経由)が飛んでいますし、北京、上海、広州、昆明、西安など空路の選択肢もかなり増えてきました。

行けるとしても、辛くない?
高山病のおそれ、交通の不便さ、メシのまずさ、寒さなどの不安は多少あります。
しかし、なんだかんだいって、みんな楽しくやっています。

行けるとしても、自由に歩けないのではないか?
確かに外国人が訪れてよい場所は制限されています。が、10回や20回行ったくらいで「もう行く場所がない」などということはありえないぐらい、行ける場所はたくさんあるから大丈夫。
また、外国人ならではの制限も確かにあります。しかし、その制限の範囲内でも十分楽しむことは可能です。

時間はどれぐらい必要か?
日本から最も速くチベットの都ラサに着くためには、成田(など)→成都(など)→ラサをすべて空路で、あらかじめ日本で手配しておけば、日本を発って(成都などで1泊)翌日の朝、ラサに着けます。会社勤めの方などで短い休みしか取れない場合、この方法がよいでしょう。
日本での手配についてはこちら。日本から成都の旅行会社にメールなどで連絡をとって、予約だけ入れておくという方法も可能になっています。

もう少し時間がある場合は、成都までだけを日本で手配して、成都に着いてからラサ行きの便を手配します。これだと成都で2〜3日、あるいはそれ以上(シーズンによって異なる)待つことになります。行き当たりばったり希望の方は、こちらがいいでしょう。

陸路にこだわるのなら、青海省西寧→ゴルムド→ラサというルートが一般的です。西寧からラサまで最低4日かかるでしょう。道路事情などもあるので、もっとかかることもあります。しかも西寧までは鉄道なりバスなりで(空路もありますが)行くことになります。日本から中国まで船で行けば、こだわりは完璧です(笑)。

2006年7月にはラサまで鉄道が通りました。北京、西寧、蘭州、成都、ゴルムドなどから乗れます。北京→ラサは所要3日間。

帰りも同様。
ちなみに、ラサ→ネパールを陸路で行くと、走りっぱなしで最短2日。ふつうは5日ぐらいかけて途中の観光をしながら行きます。

ラサだけを一般的に観光するなら、ラサ3泊4日でOKでしょう。一般的なパッケージツアーはこれ位です。

寒いでしょ?
チベットとはいえ、夏は暖かいので安心してください。暑くてガッカリするほどです。ただ、バスなどで峠越えをする陸路の移動では(とくに夜間)寒い思いをするかもしれません。また、暖かい低地でも、雨が降ると気温がぐっと下がって寒くなるし、外は日射しのおかげで暖かくても部屋の中はヒンヤリということもあるので、とりあえず一年中、ある程度の寒さへの備えは必要です。

冬の最低気温は、ラサで氷点下10度程度。日本にも、もっと寒いところはいくらでもあります。が、大都市ラサでさえ、多くの安宿には暖房の設備がない点が要注意。

季節は、いつがベストか?
少なくとも一般旅行者が行くラサ近辺+シガツェ+ツェタンあたりなら基本的には1年中旅行可能。冬(年末年始)にもツアーは催行されています。

春……天気もよいし、気分のいい季節。

夏……暖かいためツーリストが集中する季節。ただし、7〜9月はけっこう雨が多く、チベットの青い空や山が見られない可能性も。ラサではショトゥン祭あり。

秋……雨季が終わるので晴れの日が増えて快適。多少気温は下がる。

冬……ラサの場合、夜は氷点下10度程度に下がるものの、日中は日差しも強く、気温の数字ほど寒くは感じない。ただ、日が暮れると急速に寒くなる。農閑期のため、ラサは巡礼であふれ、宗教都市ラサを実感できる。実はお勧めのシーズン。

高山病は大丈夫か?
あまり大丈夫ではありません。油断は禁物です。

ただ、呼吸器系や循環器系に問題があって、あきらかに医師に止められそうな場合を除いては、経験するかどうかもわからない高山病への恐怖が原因でチベット行きをあきらめるのは、もったいないことです。
なんだかんだ言って、ほとんどの旅行者はけっこう楽しくやっています、と最初に言って安心していただきましょう。しかし、一部の旅行者は、寝込んだり入院したり、チャーター便で搬送されたりしています。ここのところチベットへ行く日本人が増えたせいもあり、高山病で亡くなる日本人もいます。

ある程度、頭が痛くなったりするのは、薄い酸素に体が適応しようと頑張っている正常な反応なので、その先無理しなければ心配ありません。この程度ですんでしまう人が多いようです。何も反応しない人さえいます。

けっこう急に症状が出ることもあるので、高地適応が済むまでは1人きりになるような旅行は避けたほうがよいでしょう。症状が出て判断力が低下してからでは人に助けを求めることさえできなくなります。

一般に少しは役に立ちそうな対策として、
「水を大量に飲め」「深呼吸を頻繁に」「酒とタバコはしばらく我慢」「ゆっくり歩け」「寝たままよりは、少し歩いたほうがいい」などがあります。高山病の予防に効くクスリとしてはダイアモックスが知られています(処方箋がないと買えません)。ちなみに、外国人が泊まるようなホテルなら、酸素が用意してありますので、いざというときは、吸わせてもらいましょう。気休め程度ですが、缶入りの酸素も現地で簡単に買うことができます。

本格的に症状(起きあがれない。食べられない。マジで呼吸が苦しい、など)が出てしまったら、医師の診断を受けて、しばらくは点滴で持ちこたえて、すぐに飛行機で低地(たぶん成都)に下りるしかありません。チベット内にいるかぎり、どこへ行っても「高地」なので、よくなることはないでしょう。

海外旅行保険には必ず入っておきましょう。肺水腫になったらチャーター便で香港に搬送です。400万円ほどかかります。ひとりで行動するのは無理ですから、付き添いも必要になります。

日本旅行医学会のホームページの「高山病で死なないために」も是非ご一読を。「ダイアモックスの処方が可能な病院リスト」もあります。

犬が怖いそうですが
町中では、最近は駆除されて少なくなっています。けど、イナカに行くと多いんです。番犬としてしつけられているので凶暴です。
で、狂犬病の恐れがあります。犬にかまれがちな人(?)は気をつけましょう。
かまれたらすぐ診療所で注射受けましょう。
もちろん、かわいい犬もいますよ〜。猫もかわいい。

どんな服装をしていけばいいの?
7〜8月は街中は暑いこともあるし、でも峠越えでは寒い、というわけで、温度調節のできる服装でお越し下さい。薄いモノの重ね着が吉です。
日差しが強いので、帽子(お寺の中では脱ぎます)やサングラスは必須です。紫外線を甘く見ると、本当に目を痛めてしまいます。
あと、半ズボンやタンクトップで寺に行くのは失礼です。チベット人の女性は、普段でも足首まで丈のあるスカートです。

冬は、重ね着した上に、ダウンジャケットがよいでしょう。足元が冷えるので、ウールの靴下に底の厚い靴も。使い捨てカイロは土に還るタイプのやつでお願いします。

チベットには平らな地面は少ないですから、歩きやすいシューズでお越し下さい。

何か特別に持っていくものは?
ラサなどの大きな街なら日用生活に必要なものはまず簡単に手に入ります。あまりに物が豊富すぎて、がっかりしてしまう人も多いでしょう(笑)。

あれば便利というものは、
・水筒
 高山病が不安なら水を飲みましょう。ペットボトルのミネラルウォーターも簡単に手に入るので、水筒がわりに使えます。保温ができる水筒は、暖かいものが飲みたいときに重宝。
・ヘッドランプ
 暗い寺の中で壁画や仏像をよぉーく見るときに役立ちます。また、イナカでは、わりと停電があります。トイレに行く時などを考えると両手が自由になって便利。
・リップクリームとスキンクリーム
 乾燥がひどいです。間違いなく荒れます。UV対策も是非。
・寝袋
 クッション代わりにもなるので、あると便利(ツアーでは必要ないでしょう)。山に登らなければ、安い3シーズンので十分。
・薬品関係
 風邪薬などは売っていますし、診療所もあります。ただ、ウガイ薬、抗生物質(水が原因のアメーバ性の下痢対策)などは持っていったほうがいいという人もいます。

女性用生理用品ももちろん売っていますが、日本製ほど機能的にすぐれてはいません。慣れた物を持っていったほうがいいでしょう。

女性の1人旅は?
男の1人旅よりは、ずっとずっと親切にしてもらえるでしょう。
文化的・宗教的に、女性だから云々という束縛はありません。
一般に、他の国を旅するのと同じことに気をつけていれば大丈夫です。
ちなみに、チベットの男は、インド人のように(笑)、外国人女性だからといってイキナリ触ってきたりはしません。でもまあ、考えてることはどこの男も同じですから気をつけるにこしたことはないでしょう(笑)。僧侶だからといって油断はできませんよ。

子連れで行けるか?
日本人で子連れというのは見かけませんが、欧米人ではけっこういます。それもちっちゃな赤ん坊を。
心配はやはり高地適応なのですが、本人に聞いてもわからないでしょうから、お父さん・お母さんの判断に任せるしかないですね。

メシはうまいか?
期待しないでください(笑)。

いちおう中華は食べられます。四川料理が多いようです。回族(イスラム教徒)系の麺類も多いです。また、麺類などの素朴なチベット料理もあります。ごく一部の都会の外国人用レストランではチベット料理・西欧料理・インド料理・韓国料理・タイ料理・日本食(もどき)が食べらります。

グルメ志向の方は、カトマンドゥか成都か昆明に出るまで我慢。

泊まるのは、どんなところ?
ツーリストが行くような普通の町なら、「ホテル」と呼んでさしつかえない宿があります。ベッドがあって、お湯の入った魔法瓶が置いてあります。
ラサの安宿のドミトリーは1泊400円ほど。ツインなら1人あたり1000円ちょっとです。バス・トイレ付きだと、1部屋3000円ぐらい。
ツアーで泊まる大都市の宿なら、ちゃんとお湯シャワーが出るし、トイレは水洗です。

お買いものは楽しい?
それは、もう。
あまり洗練されているとは言えませんが、仏具・仏画、チベット服やアクセサリー、調度品etc..民族色豊かなチベット・グッズがよりどりみどり。観光客にはしっかりふっかけてくれるので、インドほどではありませんが値切る楽しみもバッチリ。

ベジタリアンだが……
最近は野菜も豊富になったので、なんとかなります。「肉を入れるな」というコトバをまず覚えるといいでしょう。果物も豊富です。
ちなみに、肉はヤク・羊・牛が多く、中華料理では豚・鶏・羊・牛を使います。魚も食べられます(川魚)。
あと、気になる方は「味の素(味精)を入れるな」という中国語も覚えておいたほうがいいかもしれません。必ず入ってます。

ある種の植物(笑)方面はどうか?
期待できません。
たぶんチベットではそんなものがなくてもhighになれるからでしょう。
雲南かカトマンドゥまで我慢しましょう。

グループツアーはあるか?
ゴールデンウィーク、夏休み、正月を始めとして、年中あります。ネットで探してみてください。ツアーで行けば、高山病で倒れても、添乗員やガイドが面倒みてくれて安心です。
行程はだいたい7〜10日程度で、上海〜(成都)〜ラサと移動するパターンが主流です。最近はかなり激安なツアーも出ていますが、あまり安い場合、現地でのフォローはアテにしないでください。旅行業はまだまだ洗練されていませんので、高くてもアテにならない場合もあります(笑)。

ネパールへ陸路で抜けるツアーや、西チベットのカイラスやグゲ遺跡といったハードな地域へのツアーもあります。「風の旅行社」などのチベットが得意な旅行社が何かと安心でしょう。

治安はどう?
コソ泥の類はいます。とくに開けっぴろげな安宿は注意。人の大勢集まる場所(繁華街、寺の中、祭の会場)ではスリも大活躍しています。

また、中国は平静を装ってますが、チベットにはいつも民族問題がくすぶっていて、毎年なにがしか起こっています。
が、ほとんどの旅行者は、そんな劇的瞬間に出くわすことはまずありません。
何か起こってしまったら、逃げましょう。逃げたくなくても外国人は真っ先に追い出してくれるので、おとなしく従ったほうが身の安全のためです。

【チベット旅行の基礎知識】