自立のためのチベット本土の学校への支援

 チベット自治区・青海省・四川省の一部などを含むチベット高原は、日本の6倍以上もの面積をもつ広大な地域です。
 人口が分散し、経済事情の悪さなどから、現在も半数以上の子どもが学校に通うことができません。そんななか、現地の人々の努力によって少しずつ学校が作られています。
 家畜を追い、麦を育てる生活がチベット人の基本。すべての子どもに学校教育が必要だとは言い切れません。
 しかし、次のようなチベット人の声があります。
「教育によって他の文化や外の世界への視点をもち、他の文化をもつ人々と対等の立場に立つことができてこそ、自らの文化に自信と誇りをもつことができる。」
「チベット人自らによってチベットの教育水準を高めていくことは、中国当局による強制的な“支援”から脱却し、民族が自立するために不可欠だ。」
「少数でも向学心のある子どもに教育を受ける機会が与えられることは、チベット人社会全体の将来にとってプラスになる。」
 この背景には、中国の一部になって以来、チベット文化やチベット人としてのアイデンティティが静かに、しかし確実に崩れつつあることへの危機感があります。

 チベット文化を守るための教育は、インドなどの亡命チベット人社会で進められています。しかし、チベット人の97%以上がチベット本土に住んでいるという現状の中、チベット本土でチベット人自身によって進められている試みを、ささやかながらお手伝いしようというのが、このプロジェクトの目的です。

(↑ペマ・タン学校・写真:川副春海@Terra Net